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2021新春美術館コンサートの報告　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

2021年2月27日

　♪“春は名のみの風の寒さや…”♪.早春賦の歌詞がぴったりの2月の最終土曜日の午後、久しぶりの美術館コンサートが開かれました。去年から続く新型コロナのため日墺協会主催の催し物の中止が相次ぎ、美術館コンサートは2019年10月の演奏会以来、何と16か月ぶりの開催となりました。今回はコロナ対策のため50人限定のコンサートとなりましたが、集まった会員の皆さんは久々に会えることの喜びを隠せない様子でした。また今回は演奏者・深沢亮子さんの若いお弟子さんの出席も多くありました。

　鮮やかな朱色のドレスに身を包んだ深沢亮子さんの演奏は、モーツァルトの「ピアノソナタ第10番」から始まりました。この曲はモーツァルトが27歳の時に作曲された曲で、若々しく親しみやすいメロディーが、早春の演奏会に相応しい雰囲気を作っていました。休憩の後、後半はシューベルトの「即興曲D935」。シューベルトらしい青春の息吹の感じられるメロディーで、彼の素朴な心情が豊かに表現されていました。最後のプログラムはメンデルスゾーンの「厳格な変奏曲ニ短調」。この曲はバッハやベートーヴェンを範とした作品で、ピアニストのヴィルトーゾ溢れる演奏で、堂々と今回の演奏会を締めくくっていました。　　その後アンコールとしてシューベルトやバッハ、それに日本人作曲家の助川敏弥の愛すべき小品が演奏されました。

　会場には一足早く桜の花や春の花々が飾られ、深沢さんの若々しい演奏に微笑みかけているようでした。今回演奏会に足を運んだ人たちはお互いに顔見知りが多く、演奏の終わったあともあちこちで久々の再会を祝い、生演奏の楽しさを語り合う談笑の輪が広がっていました。