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春の美術館コンサートの報告

2021年4月24日

　春の陽光が降り注ぐ4月24日土曜日の昼下がり、久しぶりの「春の美術館コンサート」が久米美術館で開かれました。ただしこの日は、翌日から3回目の緊急事態宣言が発令されるとあって、辛うじて開催にこぎつけた演奏会ということもあり、やや緊張した空気も漂っていました。

　ピアノ演奏は当会理事の後藤泉さん。プログラムはベートーヴェンの「三大ピアノソナタを堪能するコンサート」と銘打たれ、参加者はコロナ対策のため定員を半分に絞った50人でした。素敵な刺繍をあしらった青いドレス姿で登場した後藤さんは、一曲目のピアノソナタ第8番「悲愴」を演奏。ベートーヴェンの青年時代の作品とあって、若い情熱の感じられる演奏でした。今回の演奏会はレクチャーコンサートという形をとり、曲の間に後藤さんの解説を入れながら演奏が進められました。2曲目はこれも名曲の「月光」ソナタ、幻想的な第1楽章はベートーヴェンの革新的な意欲が感じ取れる曲ということです。

　休憩はコロナ対策の換気を行うためテラスに出て、皆さん深呼吸。フレッシュな空気を吸って後半が始まりました。先ずは後藤さんのこの演奏会の印象。壁に掛かっている絵の少年（「坐像」曽我英彦作、1968年）が演奏を聞いてくれているようで楽しく演奏できると、「美術館コンサート」ならではの感想を話され、大曲「熱情」ソナタに挑みました。後藤さんの情熱的な演奏で、参加者はベートーヴェンからの生きるエネルギーを受け取っているようでした。アンコールは一転、バッハ・グノーの「アヴェ・マリア」の心洗われるメロディー。参加者たちは、ベートーヴェンのエネルギーとアヴェ・マリアの安寧の気分を心に満たしながら、家路に着いているようでした。