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日墺協会　2023 春の美術館コンサート報告

2023年3月25日

　桜が満開となり、待望の春到来の3月25日、恒例の「春の美術館コンサート」が久米美術館で開かれました。この日はあいにく桜に雨の天気でしたが、室内楽を聞くには相応しい落ち着いた日曜日の午後になりました。（参加者56名）

　今回のコンサートはヴァイオリンとピアノのデュオ演奏。ヴァイオリンは大阪フィルでコンサートマスターを務めている須山暢大さん、ピアノは東京芸大時代の先輩という平山麻美さん。曲は親しみのあるクライスラーの曲で始まり、ベートーヴェンの「ヴァイオリンソナタ第6番」。この曲は有名な遺書が書かれた1802年の作曲ですが暗さは微塵も見られず、青年ベートーヴェンの持つ明るさと優美さを持つ曲で、二人の溌溂とした演奏が印象的でした。後半はシューベルト最晩年の傑作、「ヴァイオリンとピアノのための幻想曲」。この曲はシューベルトの憧れや理想、自身の生き様が表現されており、練り上げられた二人の演奏は確実に聴衆の心に届いていました。そしてアンコールは、前曲の興奮を抑えるような落ち着いたシューベルトの歌曲「リタナイ」（万霊節のための連禱）が演奏され、美術館コンサートを締めくくりました。

　コロナも漸く収まり、演奏者と聴衆が親しい雰囲気の中で音楽を楽しめるサロンコンサート。参加した人たちはその醍醐味を堪能して笑顔になった午後の一時でした。

　